アーキタイプ分類のあれこれ(その3)

エルスウェアの不意討ち(追加アーキタイプ発表)のため少々遅れましたが、続きです。
今回も以下の書籍を大いに参考にし、引用してます。ありがたや。
エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ 基礎編 (海外シリーズ)
近所のブックオフにて一冊発見……何故か外国文学の棚にありましたが。

百の顔をもつラ・モン

『(前略)無から虚を生み出し、無に返すもの。で、科学者と魔法使い。医者で詩人で、えーっと技師と宗教家、それと興行師。そして天性の詐欺師……(後略)』(by 桂木リンナ)


上記は双子シナリオのNPC桂木リンナが自身の幼なじみである愛染浅黄&朱華兄妹のアーキタイプとされている『彼』(=ラ・モン?)に関する人物評です。『無から〜』という前半部分は『彼』の行動傾向とその結果の傾向を、『科学者と魔法使い。医者で〜』という後半部分は『彼』が他者に見せる様々な自己イメージを指し示しています。
そして、これらの条件を満たすのが「タイプ3w2」、つまり「タイプ2のウィングをもつタイプ3」(魅了する人)です。

彼らは、自分が好ましく思われない、いかなる特徴も抑圧しようとします。自分の価値は、他者を引きつけ、眩惑さえする能力からくると感じるのです。つまり、人から好かれ、感心されたいのです。

というような動機から、自らの資質を育て、称賛と好意を得ようとします。しかしすかれようと思うあまりタイプ3のとらわれである「自己欺瞞」を発揮した場合、

彼らの行動は、できすぎで、わざとらしい感じになることがあり、良い評判を得、信頼されたいという、せっかくの試みが損なわれます。

このようなところが『無から〜』の部分に当たります。
また、多くの人たちとかかわる場合、以下のようなことを起こす可能性があるのです。

社会的な関係を満足させたり、親密な状況でふるまうために、多様な自己イメージに頼るかもしれません。

なお、「ラ・モン」という名前については語源・語彙ともに不明です。ドイツ語っぽくもないので、「ラ・リラ」も生き延びた場合の完成形の名前が別に存在するのかもしれません。

さて、愛染兄妹のもつ紋章は二つでひとつの不完全なもので、予想される完成形は「三日月状の白と黒の蛇が互いの尾を咬みあう紋章」です。10月頃に何度か『はてしない物語』表紙にあるアウリンの図案と似ていると述べましたが、その図案が右上のものです。
ハードカバー版の装丁が著者ミヒャエル・エンデの注文による『本文に描写されているとおりあかがね色の絹に二匹の蛇が浮き出ているもの』なので、そのままスキャンしても残念ながら図案の判別ができませんでした。
なので上に示したのは、なんとか別紙に写したものです。おそらく双子の紋章の完成形はこれとよく似たものだと思われます。
エンデはシュタイナー教育を学んだ教師に学んだことがあり、そのシュタイナー教育の祖であるルドルフ・シュタイナーは秘密結社 薔薇十字団の思想に傾倒した神智学者で、のちに独自の人智学を提唱した人物です。


また、NPC 桂木リンナの『彼』に関する記憶の内容から、過去、転生に成功していたらどんな人物だったのか考えていたのですが、それに相当するような架空・実在の人物となると思い浮かんだのはヨーロッパの怪人物「サン・ジェルマン伯爵」でした。
サン・ジェルマン伯爵については、何百年も生きていると言ったとか、はるか昔のことを見てきたかのように話して見せたとか、何ヶ国語もの言葉に非常に堪能であったとか、歳を取ったように見えなかったとか、錬金術に通じダイヤの内部の傷を消して見せたとか、毒をあおった女性に薬を与えて解毒したとか、薔薇十字団員としてヨーロッパ各地を巡っていると言われたりとか……様々な逸話が残されています。
なかでも、十字軍に参加していたことをサン・ジェルマン伯爵が語ったという話では、「リチャード獅子心王とともに参加した」と『騎士の想い出』と同様の内容を述べたという話もあります。愛染朱華が『騎士の思い出』を持っている点を踏まえると、面白い符合ではないでしょうか。


一般的には稀代の山師とされているサン・ジェルマン伯爵ですが、彼が人類を正しい方向に導くために人知れず努力しているマスターの1人だとする説や、彼こそが薔薇十字団の創始者とされるクリスチャン・ローゼンクロイツの転生だという説もあります。
『彼』の紋章の図案とアウリンの図案の相似、エンデとシュタイナーと薔薇十字団のつながりなどを考えると、これもまた面白い説ではないでしょうか。

闇姫ディアーナ

06年の9月20日掲載したように「タイプ3w4」、「タイプ4のウィングをもつタイプ3」(プロフェッショナル)であると推測しています。
9月20日の時点では参考書籍からの引用は一部しかしていなかったので改めて見てみますと、

このサブタイプの人々は、個人的魅力よりも、仕事やキャリアの成功により、自負心をもてると感じます。

このあたりを行動の原動力とするタイプのようですね。

彼らはまた、もったいぶったり、傲慢であるかもしれません。

そして上記のような部分が、暗殺対象にのみ姿を見せたというこだわりの原因なのでしょうね。

ディアーナ」は、ギリシャ神話の月と狩りの女神アルテミスに相当する、ローマ神話の処女神の名前です。(ドイツ語)