渦のお話 その2

さて、もしかすると八十神学院に数多くあるかもしれないボーテックス・スポット。それらが実在するとすれば、いったいどこに在るのでしょう?



特設校が一定条件を満たして上級特設校へ昇格すると、そこに所属する者はその特設校に特有の専用運命を使用できるようになります。
『運命準備委員会』世界内でその現象は、
「運命に導かれて同じ学校に集まった輪楔者たちが、同じ時代に転生していた頃の記憶を取り戻す」
ということであると解釈されているようです。
そこを訪れた者になんらかのインスピレーションを与えることもあるというボーテックス・スポットの特性を考えると、特設校に対してもそれは深く関係しているように感じます。
以上の点を踏まえて各特設校に共通する点は何かと考えると、各特設校に貸与される学院大通り沿いに林立する学校施設(旧・廃校舎、その他無人施設含む)の存在が頭に浮かんできました。
ボーテックス・スポットのある場所にそれら学校施設が建てられているならば、

上級特設校の設立条件が満たされたとき、ボーテックス・スポットはその特設校特有のインスピレーションを所属者たちに与える。その結果、所属者たちは過去の記憶とされるものを一部共有し、専用運命が各自に発現する。

のではないでしょうか。


ところで少し話は変わりますが、渦(ボーテックス)には、求心性(中心部の縁へ収束する性質)のものと、遠心性(中心部から外へ拡散する性質)のものの二種類があります。
そして学院を創設した者たちは八十神学院の発展を望んでいたはずです。
彼ら、学院創設者たちがそのために「渦」の特性を利用できるよう、学院の施設や設備を設計・建設していたとしても不思議ではありません。
つまり、

螺旋状(渦巻き状)の学院大通りを建設・整備することで、「求心性の渦」の特性を利用。
学院の心臓部である城輪丘陵頂上部の本部校舎に向けて、丘陵一帯に点在すると思われる各ボーテックス・スポットの力を収束させている。

という仮説がたてられるのではないかと思います。
もし仮説の通りであれば、なんらかの事故や土砂崩れ等の災害で学院大通りが破壊・寸断された場合、復旧までの間、学院に何らかの悪影響が発生する可能性もあるかもしれませんね。


もちろん、収束したボーテックス・スポットの力だけでは、学院の維持は安定化しません。それには収束した力を支える柱……学院に集った輪楔者たちと、彼らを結束させる強固な「絆」が必要なのではないでしょうか。